今年もプールの季節がやってきました。子どもたちは水が大好きです。はじめ水を怖がっていた子どもでもちょっとしたコツがわかると怖がらないで水に入っていきます。子どもが親と一緒に楽しそうにプールに入っているのを見るのはとてもほほえましいものです。
ですが、大勢の子どもとプールに行くときなどは親の目が届きにくくなることがあります。水は楽しいだけでなく大きな事故も起こりやすいということを忘れないでください。できるだけ子どもたちの姿を確認できるように注意してあげてください。
また、プールは大勢の人たちが利用するものです。皆さんが気持ちよく利用できるようにルールを守って楽しみましょう。
ここではいくつかのルールについて書いてみます。
まず、プールに入る前にやること
1.爪は短く切る…水に入ると皮膚が柔らかくなり傷つきやすくなります。伸びている爪で自分だけでなく人に怪我をさせることがあります。
2.準備体操をする…入る前には必ず準備体操をして普段使っていない筋肉をほぐし、心臓にもこれから運動をするという合図を送ってあげましょう。
3.プールに入る前、トイレに行ったあとは必ずシャワーを浴びてから入りましょう。
プールに入ってから注意すること
4.プールサイドは走らない…大怪我の原因になります。
5.飛び込みはしない…ふざけて飛び込んだりするとプールの底で頭を打つこともあり大怪我の原因になります。
病気について
6.体調が思わしくないときは入れない勇気を持ちましょう…子どもはプールが好きなのでちょっと体調が悪くても言葉には表さないことがあります。事前に体温測定をしたり子どもの様子を確認しましょう。
7.下痢をしているお子さんはNGです。
8.「とびひ」は治るまでは入れないこと。
9.「水いぼ」は入ってかまいませんが浮き輪やビート板は別々に使うこと。
10.裸で赤ちゃんをプールには入れない…赤ちゃんはいつおしっこ・うんちをするかわかりません。これは絶対NGです。
11.水泳用おむつ…これで完全にはおしっこ・うんちを防げないこともあるようですし、ネットの書き込みを見るとそれでも眉をひそめる親が結構いるようです。みんなが楽しくプールを利用することを考えると、公共プールはオムツがとれてからがよいでしょう。
スイミングは子どもたちに1番人気の、楽しくできる全身運動です。心肺機能を高め、皮膚を丈夫にしてくれます。特に体の弱いお子さん、喘息のお子さんには最適の運動です。プールを上手に使って、是非楽しい夏をお過ごしください。
私たちの回りには細菌、ウイルスなどたくさんの病原性微生物がいます。私たちがその中でたいしたこともなく過ごしているのには訳があります。「免疫」と呼ばれる、微生物の感染を防御するからだの仕組みがあるからです。免疫には大きくわけて2つの仕組みがあります。一つは、血液を流れている白血球が微生物を直接退治する「細胞性免疫」と、もう一つは、白血球の一つであるリンパ球が抗体という蛋白質を作り、この蛋白質が微生物を退治する「液性免疫」という仕組みです。病原性微生物の種類によってこの2種類の免疫の分担が決まっています。それ以外に、皮膚の表面は弱酸性になっていて細菌から身体を守ってくれます。言ってみれば皮膚は抗菌加工されているわけです。また、生まれたばかりの赤ちゃんは特に弱いため特別な仕組みが備わっています。一つは、お母さんのおなかの中にいる間にへその緒を伝わって、抗体の一つであるIgGが赤ちゃんの血液中に送り込まれ、これが赤ちゃんを6ヶ月間守ってくれます。もう一つは、母乳の中にIgAと言う抗体が入っていて、これを飲むことで赤ちゃんの消化管の粘膜がIgAでこれまた抗菌加工され、微生物の感染を防いでくれます。
しかし、麻しんや結核など病原性微生物による重い感染症では、かかると命を落としたり重い後遺症を残すおそれがあります。このような病気に対しては予防接種をして病気にかからないように外から免疫をつけてあげましょう。予防接種には2種類あって、毒力を弱めた生きた微生物を接種する生ワクチン(麻しんワクチン、BCGなど)と、生きていない微生物の一部を接種する不活化ワクチン(三種混合ワクチンなど)があります。生ワクチンは不活化ワクチンと比べるとよく効きますが副反応が多い特徴があります。そのため、不活化ワクチンでは効果を上げるために接種回数が多くなります。予防接種では一定の割合で副反応が出るため、安心して予防接種を受けるためにも常に副反応の少ないワクチンの開発が求められています。それぞれのワクチンには接種に適した期間が定められており、また、ワクチンとワクチンの間の間隔も決まりがあります。お子さんの状態によっては接種してはいけない時と気をつけて接種しなければならない時があります。上記のワクチンを含めていくつかのワクチンは法律の定めに従って、現住所のある市町村で原則無料で接種が受けられます。また、新潟県内に現住所がある方は広域的個別予防接種制度を使うと新潟県内のどこでも接種できます。予防接種を行うには専門的な詳しい知識と豊富な経験が必要です。普段からお子さんをよくみていてお子さんの状態のよくわかるかかりつけの小児科専門医で受けられることをお勧めします。 (平成18年10月5日)
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